ICDという選択

これがICD

9月13日の心臓カテーテル検査での不整脈誘発試験で、あっさりと止まってしまった僕の心臓。
結局は、具体的な原因の特定はできないようです。

主治医曰く

40歳を過ぎて、カラダの状況が少しずつ変化をしている。
また、7月25日に心室細動(Vf)が起こって心肺停止になってしまったことにより、心臓の気質が変わってしまったと考えるしかない。
検査により、具体的に心筋がダメージを受けている様子は見られないが、やはり10分近く心肺停止により心筋細胞が何らかの影響を受けていると考えるのが妥当。
前回が、かなり心臓に負荷がかかったときにVfが起こっており、今回のバイパス手術により、心臓の血流は改善されている。
そのため、検査ではVfが誘発されたが、もしかしたら日常生活ではVfは起こらないかもしれない。
ただ、他の健康な人に比べて起こりやすい事は確かである。
Vfを起こさないようにすることはできないので、起きたときに、即心臓を正常な状況に戻すことができるようICD(植込み型除細動器)の装着を強く勧める。

というわけで、色々と考えるところはありましたが、結論としてICDを埋め込むことに決めました。



さて、ではICDとは一体どういうものなのでしょうか。

ICDとは、Implantable Cardioverter Defibrillator。
直訳して、植込み型除細動器の意味になります。
ペースメーカーのように体内に埋め込んで、心室頻拍や心室細動などの、いわゆる致死性の不整脈の治療を行う医療機器です。

ICD(植込み型除細動器) | アボットメディカル
フクダ電子 | 医療機器の開発・製造・販売

具体的に僕が入れるのはこの機種。
http://www.sjm.co.jp/medical/crm/crm02.html

素直な感想は「結構でかいな^^;」

500円硬貨と比較。

100円硬貨と比較。約3枚分。

携帯電話と厚みの比較。
結構分厚い。


ICDを入れると、身体障害者1級になります。
その分、日常生活でも色々と制限が出てきます。
例えば、車の運転ができない。(一定期間作動しなかったら運転できるときもある)
電磁調理器が使えない。(うちはオール電化・・・)
その他、強い電磁波には要注意。


耐用年数は、8年から10年といわれています。
その頃には、もっと小さくて性能のよいものが登場していることを期待(^_^)

さあ、手術は21日(火)です。
改造人間となって生まれ変わります(笑)

またまた心臓が・・・

昨日は、バイパス手術の結果を確認するために、カテーテル検査をしました。
前回の冠動脈の狭窄が見つかったときのカテーテル検査では、結局不整脈の誘発試験はしませんでした。


今回は、血管造影でバイパス手術の結果を確認することと、致命的な心室細動(Ventricular fibrillation, Vf)につながる不整脈が出ないかどうかの誘発試験も行うとのこと。

9:20にストレッチャーで、4階のカテーテル室へ。
2度目のカテーテルなので、少しは不安が少ない。
最初に、心電図や、万が一のときのためのAED電極やら沢山つけられた。
カテーテルは、動脈は左の肘、静脈は右の大腿部から。
麻酔が少し痛いが、その後の痛みはない。
カテーテルを入れている感覚はわかる。
最初に血管の造影。
造影剤が入ると、肩と胸が熱くなる。
造影剤は一般的にはヨード系のものが使われて、それをX線の装置で撮影する。
丸いX線の装置が胸の上を向きを変えながら動いている。


狭心症とは?


その場で主治医から、バイパスはうまくいっていると告げられる。

続いて、不整脈誘発試験。電気生理学的検査(Electro Physiological Study;EPS)
左の大腿部の静脈から電極カテーテルを挿入しており、そこから電気的刺激を心臓に与えて不整脈を誘発する。


http://stg-japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/cardiology/magazine_lecture/heart/heart_08.html


僕の場合は、2本電極カテーテルを挿入して、HRAとRVA(上記リンク参照)にセットして試験を行ったとのこと。

最初は心臓が少しドキドキとしたり、脈が乱れた感じがあったが、苦しいわけでも痛いわけでもなかった。



ふっと、心地よい夢を見ていたら、突然主治医の呼ぶ声が聞こえた。
目を開けると酸素マスクをつけられていた。
一瞬、今がどのような状況なのかわからなかった。
直ぐにカテーテル検査をしていたことは思い出したが・・・
本当に心地よく眠っていた気がした。

実は、誘発試験により、本当に心室細動(Vf)が起こり、準備していたAEDで電気ショックをかけて事なきを得たらしい。
血圧も0になっていたとの事。
時間を聞くと、5秒程度のことだったらしい。

なんと、またま、心臓が止まってしまいました!
||||||||/(≧□≦;)\|||||||オーノー!!

止まった瞬間のことはまったく記憶になく、お花畑にいるような、ほんわかとした気持ちで眠っていました。
AEDのショックもまったく記憶になく、とにかく気持ちよく眠っているところを何で起こすんだ!って感じでした。


結果、心臓に対して、ちょっと負荷をかけた段階で簡単にVfが起こってしまいました。
つまり、現在の状況では、いつ心臓が止まってもおかしくない状況です。

予想できたが、予想したくなかった結果に・・・

手術のお値段

心臓のバイパス手術は結構お高いのです。
そのお値段、約450万円!!

とてもじゃないけど払えません(>_<)

ということで、公的な支援が受けられます。
その制度を、自立支援医療(更生医療)といいます。


http://www.city.kitakyushu.jp/pcp_portal/PortalServlet;jsessionid=7A1C0BD87AD5DBD77BE11A7510679EBC?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=8329


身体障害者手帳を持っている方が対象となります。
そのために、バイパス手術を受けると決まってから、早速身体障害者手帳の手続きと、更正医療の手続きを済ませました。
決定までには時間がかかるのですが、手術日前に区役所で書類を受理されていればokです。

通常は、病院から手続きを取るようにいわれるので覚えておく必要はありません。
ただし、実際に窓口で支払う自己負担分が安くなるわけではないのです。

所得により自己負担は変わりますが、まあ普通のサラリーマンの場合は手続きをしようとしまいと、自己負担は変わらないでしょう。
(普通ってどのくらいなん?という細かいことは気にせずに^^;)

医療費の自己負担の仕組みはこうです。
※保険対象外の、食事代、病衣代、差額ベッド代は無視しています。
※僕の解説ですので、間違っていたらごめんなさい。

【例1】
医療費の総額が10万円の場合。(自己負担が3割の場合)
本人負担:3万円
健康保険者:7万円

【例2】
医療費が100万円の場合。
本人負担:30万円
健康保険者:70万円

となると、30万円も払わなければいけないのかとなるが、本人負担が高額になった場合には、「高額療養費制度」というものがあります。
殆どの健康保険でこの制度があります。


高額療養費 - Wikipedia
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu06.htm

本人負担の計算方法
80,100 円+(総医療費−267,000 円)×1%

つまり
80,100 円+(1,000,000円−267,000 円)×1%=87,430 円

最終的には
本人負担:87,430円
健康保険者:912,570円

【例3】
医療費が500万円の場合(更正医療を適用)

更正医療が適用されると、10%が本人負担となります。
(あくまでも中間的な所得の場合ですよ)
残りは国が負担してくれます。

つまり
本人負担:50万円
国負担:450万円

更に、この50万円には通常の保険診療が適用されます。
つまり、高額療養費制度の対象となるわけです。

本人負担の計算方法
80,100 円+(総医療費−267,000 円)×1%

つまり
80,100 円+(5,000,000円−267,000 円)×1%=127,430 円

本人負担:127,430円
健康保険者:372,570円
国負担:450万円

結局は、高額療養費制度の限度額を支払わなければならないのです。


他にも心臓カテーテル検査は10万〜30万円ほどするらしい。
命の代償はお高いですね^^;

でも、ありがたい制度のお陰で、高額な治療が受けられます。
ただし、保険診療の対象の場合ですが。

世の中には、まだまだ保険診療の適用にならない治療を受けざるをえない方がたくさんいらっしゃいます。
何かよい救済方法はないものですかね。

バイパス手術無事終了

予定通り、8月31日(火)に無事にバイパス手術を終えました。

手術時間は3時間ちょっと。
心臓も止めることなく、輸血もなしに順調に終わりました。

備忘録として手術からの流れをメモに。
こんなん誰かの役に立つんかいな(笑)


■8月31日(手術当日)
ICU(集中治療室)で、夕方に麻酔から目が覚める。
まだ麻酔が効いているのか、痛みはあまり感じないがとにかく眠い。
時間の感覚があまりなく、体が動かないので、浅い眠りを何度も繰り返す。
まだ、体中に点滴やチューブや酸素マスクがついている。

■9月1日
お昼前に酸素マスクが外れる。
お昼ごはんが出てくる。
痛みをこらえながら、ベッドを起こしてがんばって食べた。
まだ体の向きを変えることもままならない。

16時頃に、ICUから一般病棟の回復室に移動。(1回目の引越し)

痛み止めの点滴を打たれているが、やっぱり痛い(>_<)
そこに、リハビリ担当のPTさんがやってくる。
前回の入院のときからの顔見知り。

開口一番「じゃあ、まず立ち上がってみましょうか」
エッ? (;゜?゜)ノ マジ?

「体に立てることを教えておかないと。」
「胸やお腹に力を入れずに、足の反動を利用して体全体を転がすように・・・」
"/(*▽*) 痛々々々々々々々々々々々々々々

・・・・立てました。


後になって考えると、このときがんばって立ち上がれたのが、その後の回復の弾みになりました。

■9月2日(木)
なんと、夜中にがんばって左右に寝返りができるようになり、朝には自分でベッドに座れるようになった。
相変わらず痛みはあるが、コツをつかんできた^_^;

午前中に、心臓血管外科の病棟の回復室へ移動(2回目の引越し)

体についていた管が全部外れて、点滴も抗生物質の1本だけに。
身軽になって、病室内を歩いてよいとの許可が出たので、洗面台で洗顔
ふー、さっぱりした!

■9月3日(金)
回復室から、2人部屋へ移動(3回目の引越し)
最後の点滴も取れて、病衣も普通のものになって、一気に身軽になった!
ただし、点滴用の針ははいったまま。何かあったときのためらしい。
病棟内を歩いてよいとの許可も下りた。
念のため、歩行器を使って病棟内をうろつきまわる(笑)
胸の傷の痛みはあるが、寝起きのときくらいで、それ以外ではあまり痛みは感じない。痛み止めもいらないくらい。

■9月4日(土)
2人部屋から大部屋(6人)へ移動(4回目の引越し)
これで最後。
念のため残しておいた点滴用の針も抜いてもらい、さっぱり!

今日は、イカダの打ち上げが、野上プレジデントホテルにて行われる。
参加するついで!?に、育成会の面々が面会に来てくれました。
いやいや、久々に顔をあわせてうれしかった(= ̄▽ ̄=)V

■9月5日(日)
食事が、まだお粥。いい加減飽きてきたので、そろそろ御飯に変えてもらえないかとお願いしてみた。
晩御飯から、普通の御飯に。

■9月6日(月)
今日から、本格的にリハビリが始まった。
足に錘をつけての足上げや、軽い自転車こぎ。
ついでに、御飯も大盛にしてもらった(笑)

■9月7日(火)
傷口のテープを外してもらう。
傷口はこんな感じ。

シャワーの許可もおりた。
久々のお風呂、さっぱり。なんだかやっとひと息ついた感じがした。

仕事に復帰

18日からじわっと仕事に復帰。
午前中だけの勤務を許してもらうことに。
というか、夏休みと有給休暇をうまく組み合わせました^^;

久々に出勤するのは、結構気恥ずかしいものです。
会うたびに、一様に驚きの表情が。
その都度経緯を説明するのですが、これが結構大変(笑)
やっぱり大変なことになっていたのだなぁ、と改めて実感が。


突然倒れたので、当然職場の机の周りなどは、当時のまま。
ご迷惑をおかけした上司や同僚にご挨拶。
ホントにフォローありがとうございましたm(__)m

さあ、また月末からはお休みをもらわなければならないので、しっかりと休めるように準備をしておかなければ。

心臓バイパス手術

心臓カテーテル検査で、血管の一部が狭くなっていることが判明しました。
今回、心肺停止になってしまった心室細動(Vf)の直接的な原因かどうかはわからないが、少なくともいつかは治療しなければならない状況。
血液検査などの結果ではまったく問題もないので、なぜ血管か狭くなったのかはわからない。
状況としては、動脈硬化なので一種の老化現象であり特定の要因が寄与しているわけではなく、様々な要因が重なったと考えるしかないという。


病名
無症候性心筋虚血(左冠動脈前下行枝慢性閉塞)、心肺停止後(心室細動


虚血とは、貧血状態のことであり、心筋の一部の血流が悪く心筋が酸素不足に陥っている、ということらしい。
この状態が更に悪化したら、心筋が壊死して心筋梗塞となる。

というわけで、結論として心臓バイパス手術(正確には「冠動脈バイパス手術」)を受けることに決まりました。

【参考】
http://www.hts-hsp.com/web/contents/sinryou/singe/1-1.htm


↓写真付なので閲覧注意^^;
冠動脈バイパス手術 - 学校法人自治医科大学


僕の場合は、一箇所なので、左内胸動脈という肋骨の内側を走る動脈を冠動脈につなげて閉塞した先の血流を確保するものです。
一番オーソドックスなバイパス手術だそうです。
術後は、日常生活には何の制約もなく、将来的にも一番長持ち!?するそうです。
手術も、心臓を止めることなく、輸血も特別なことがない限りする必要はないとの事。

胸を大きく開けての手術となるのがちょっと怖いですが・・・

その運命の日は、8月31日に決まりました。